5.あらゆる時をしめす六十四卦

離下震上 雷火豊(らいかほう)

離下震上 雷火豊(らいかほう)

豐。亨。王假之。勿憂宜日中。

彖曰、豐大也。明以動、故豐王假之尚大、也勿憂宜日中、宜照天下也。日中則昃。月盈則食。天地盈與時消息、而況於人乎況於鬼神乎

象曰、雷電皆至、豐。君子以折獄致刑

豊(ほう)は、亨(とお)る。王これに仮(いた)る。憂うるなかれ。日中に宜(よろ)し。

彖(たん)に曰く、豊(ほう)は、大(だい)なり。明(めい)にしてもって動く、故に豊かなり。王これに仮(いた)るとは、大を尚(たっと)ぶなり。憂うるなかれ、日中に宜(よろ)しとは、宜しく天下を照らすべしとなり。日中すればすなわち昃(かたむ)き、月盈(み)つればすなわち食(か)く。天地の盈虚 (えいきょ)は、時と消息す。しかるをいわんや人においてをや、いわんや鬼神(きしん)においてをや。

象に曰く、雷電(らいでん)みな至るは豊なり。君子もって獄を折(さだ)め刑を致す。

初九、遇其配主雖旬无咎。往有尚。

象曰、雖旬无咎、過旬災也

六二豐其蔀。日中見斗。往得疑疾有孚發若吉。

象曰、有孚發若、信以發志也

九三、豐其沛。日中見沫折其右肱。无咎。

象曰、豐其沛、不可大事也。折其右肱終不可用也

九四豐其蔀。日中見斗。遇其夷主。吉。

象曰、豐其蔀、位不當也。日中見斗、幽不明也。遇其夷主、吉行也

六五、來章有慶譽吉。

象曰、六五之吉、有慶也

上六、豐其屋、蔀其家。其戸(門<規)、闃其无人三歳不覿凶。

象曰、豐其屋、天際翔也。其戸、闃其无人、自藏也

初九(しょきゅう)。その配主(はいしゅ)に遇う。旬(ひと)しといえども咎なし。往けば尚(たっと)ばれることあり。

象に曰く、旬(ひと)しといえども咎なしとは、旬しきを過ぐれば災あるなり。

六二(りくじ)。その蔀(しとみ)を豊(おお)いにす。日中に斗(と)を見る。往けば疑い疾(にく)まるるを得ん。孚(まこと)ありて発若(はつじゃく) たれば、吉(きつ)なり。

象に曰く、孚(まこと)ありて発若(はつじゃく)たりとは、信もって志を発するなり。

九三(きゅうさん)。その沛(はい)を豊(おお)いにす。日中に沫(ばい)を見る。その右の肱(ひじ)を折る。咎なし。

象に曰く、その沛(はい)を豊(おお)いにすとは、大事に可ならなるざり。その右の肱(ひじ)を折るとは、終(つい)に用うべからざるなり。

九四(きゅうし)。その蔀(しとみ)を豊(おお)いにす。日中に斗(と)を見る。その夷主(いしゅ)に遇えば、吉(きつ)なり。

象に曰く、その蔀(しとみ)を豊(おお)にすとは、位(くらい)当たらざればなり。日中に斗(と)を見るとは、幽(くら)くして明かならざるなり。その夷主(いしゅ)に遇えば、吉(きつ)なりとは、行けばなり。

六五(りくご)。章(しょう)を来(きた)せば、慶誉(けいよ)あり。吉(きつ)なり。

象に曰く、六五(りくご)の吉(きつ)とは、慶びあるなり。

上六(じょうりく)。その屋(おく)を豊(おお)いにし、その家に蔀(しとみ)す。その戸を(門<規)(うかが)うに闃(げき)としてそれ人なし。三歳まで観(み)ず。凶なり。

象に曰く、その屋(おく)を豊(おお)いにすとは、天際(てんさい)に翔(かけ)るなり。その戸を(門<規)(うかが)うに闃(げき)としてそれ人なしとは、みずから蔵(かく)るるなり。

前のページに戻る